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このブログは、TW2シルバーレイン内の高塚・洋紀(b20723)を筆頭とした高塚家のキャラブログ(背後出現率高)です。
今の説明で意味の解らなかった方や、そういったものが苦手な方は回れ右でドウゾ。
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♯ 偽リプ:お花見大作戦!

結社『戦う文芸部』にての偽シナリオ第一弾、『お花見大作戦!』の偽リプレイです。
よろしければ、感想・今後のアドバイス・次偽シナのリクなどくださると嬉しいです。

◆◆◆

「お花見……」

誰かが呟く声。
部活だ、といっても特に何かするでもなく、ただ各々テーブルの上の菓子を食べながら雑談する、結社『戦う文芸部』の面々。
そんな中、団長である高塚洋紀が呟いた一言は何故か室内に響き渡り、メンバー達はその視線を彼女に集中させた。

「うん、やっぱお花見よ。そうしよう、決定!」

要するに彼女は、「お花見に行こう」と言っているのだろう。
それにしても、普通は賛否や疑問の声を飛び交わせる筈だが、洋紀はそれを伺うことなく自己完結、というよりも、決定してしまった。

「あのー……」

メンバーの誰かが遠慮がちに声をあげる。

「それじゃ、早速色々決めにかかるわよ」

鮮やかなスルー。
声をあげたメンバーの一人は、それ以上何も言わなかった。
恐らく、何を言っても無視されるだろう。さもなければ、華麗なる一蹴をお見舞いされる。
それが解っているならば、むやみに彼女の進行を止めることはない。
それに、土蜘蛛戦争も終えて一息ついたこの時期、まだ桜も十分なわけであるから、花見くらいまあ構わないだろう。

洋紀は席を立つと、黒板に向かう。
心赴くままに描かれた落書き達をザッと消すと、彼女はそこに新たに文字を書き記していった。
小気味良いチョークが黒板を走る音。
それが終わりを迎えると、そこにはこう記されていた。

『第一回 お花見に行こう大作戦・作戦会議』

なんだ、その微妙にカッコ悪いタイトルは。
いくらかのメンバー達はそう思ったが、黙っておいた。
そんな彼らの心を知ってか知らずか、彼女は指についたチョークの粉を適当に払うと、面々の方を向いて言った。

「それじゃ、作戦会議を始めるわよ」

●花見場所
「とうちゃーく!」
右手を腰に当て、左手を大きく横に広げて、戦う文芸部の団長、高塚・洋紀(天下無敵のツンドラ娘・b20723)は高らかにそう言った。
山を登ってきた面々は、洋紀の背後に広がる世界に目を丸くする。
そこは、まだ見頃の桜が咲き乱れるちょっとした広場の様な所だった。

「わー!すっごーい!!!」
嬉々として叫んだのは、山中に似つかわしくない、ママと呼ばれる女性が営む店に置いてあるようなカラオケセットを担ぐ五十嵐・アイヅ(最後のカミカゼ・b20980)。
その後ろにつくようにやってきた尽実・実尽(緑髪翠眼は樹海の名残・b20837)も、その光景に目を輝かせていた。

「……とても、良い香りです」
「ははは、なかなかですね」
高遠・美鳥(回復ならばお任せ下さい・b20678)が目を細め、もう大分暖かくなったというのにタキシードを着て汗一つかいていない蒼雷・大樹(俯瞰の道化・b19768)が、品定めをするように見回しながらそう言う。

「うわー、すごい見晴らし…!」
「……ああ」
城谷・千鶴(中学生魔弾術士・b23357)が感嘆の声を漏らし、白藤・純也(先陣の一番槍・b23668)もそれに同意の意を呟いた。

時折吹く風にあわせて揺れる枝も、舞い散る花びらも、とても美しかった。
山の下ではもうほとんど見られない桜がこれだけ咲いていると、そこは夢のようにすら感じる。
桜に目を奪われるメンバーに、洋紀は満足げに頷いた。

●宴会開始
到着した面々は、地面にシートを引いて花見の準備を始める。
シートの隅に石を置いて重しにし、真ん中にそれぞれ持ち寄ったごちそうを置いた。
持ち寄った食べ物は皆美味しそうで、その後の花見を更に楽しくするのに一役買うのは明らかだ。ただ、一つを除けば。

「……ミッキー…それに蒼さんまで……」
引きつった表情の洋紀。
シートの上に出された美味しそうなごちそうの中、明らかに負のオーラを放っている物体A、もとい、紫色の桜餅。
明らかにおかしいその桜餅の紫は、タバスコとブルーハワイから生み出された色と聞く。明らかに、劇物だ。
と、不意に背後から、桜餅とはまた違った負のオーラが流れてきた。
そちらに目をやれば、そこにいたのはカラオケセットを目の前に膝と手をついて思い切り沈んでいるアイヅ。

「……でんげん……コン、セント……」
呟かれた言葉に、面々は察した。
彼女の持ってきたカラオケセットは電気式なわけだが、当然、電気など山の中にあるはずがない。コンセントも、然り。
「えーと……し、仕方ないよ。大丈夫だって、カラオケセットなくても、カラオケはできるし。は、はい、これ」
味は保証するよ、と千鶴が差し出した彼の手作りケーキを肩越しに見やると、沈んだままの表情でゆっくりとそれを受け取り、フォークに突き刺して、一口、アイヅは囓る。
「……おいしい…!」
口に広がる甘さは、アイヅの心をみるみる回復させた。
おいしい、の一言に、千鶴は喜ぶ。
「良かった!あっ、皆さんも良かったら後でどうぞ!」
そう言うと、千鶴はケーキを1ホール、半分に分けて自分の方に寄せる。それに気付いた純也が尋ねた。
「……誰かに、やるのか?」
「いえ、俺のです。あとの半分と1ホールは、皆さんでどうぞ」
その場の空気が、一瞬固まった。
それに気付かずに、千鶴はケーキを横に置いて弁当の方に手を出す。
まさか、というか、絶対にそうなのだろうけれど。
(一人で半ホール……!?)
なんというかそれは、気持ち悪くならないのだろうか。

「ははは、では我々もいただきましょうか」
大樹の言葉に、皆は我に返る。
お互いに顔を見合わせて、そうだね、と頷くと、めいめい好みの食べ物を持ってきた紙皿によそった。
「蒼雷様、何かお取り致しましょうか?」
隣に座っていた大樹に、美鳥が尋ねる。
皿を片手に何を取ろうか迷っていた大樹は、美鳥の申し出に、どうも、と皿を渡した。
「えーと……じゃあ、唐揚げとシャケと卵焼きとウインナーと……あ、お弁当の中の品をみんな一つずついただけますか」
「……はい、かしこまりました」
皆、そんなに食べるのか、というツッコミはこの際しなかった。
しかし、その視線はまさしくそう訴えている。
皆の視線に気付いた大樹は、美鳥から注文したものをよそった皿を受け取ると、いつも通りに「ははは」と笑ってこう言った。
「蟲と共存していると、お腹が空くんですよ」
その言葉に、全員が実尽の方を見やる。
彼女は白燐蟲と一緒に、紫色の桜餅を両手持ちで頬張っていた。

●隠し芸
「さー、みんな!そろそろ隠し芸大会を始めるわよー」
花より団子、とばかりに談笑しつつ思い思いにごちそうを食べる面々の注意を向けるように、パンパンと手を叩きながら呼びかけた洋紀の方に、皆が顔を向ける。
洋紀は使えなくなったアイヅのカラオケセットのひとつであるマイクを手にすると、高らかに宣言した。
「Ladies and gentlemen!いよいよお待ちかね、隠し芸大会の始まりよ!さ、一番手は誰?」
見事な発音で英語部分を言ってのけると、洋紀は皆を一瞥する。
すると、美鳥がその手を挙げた。

「僭越ながら、瓦割りを披露させていただきます」
皆が一斉に拍手をする。
その拍手が鳴りやむと、美鳥は用意してきた瓦に何度か手の平を縦に置いて、呼吸を整えた。
張り詰めた空気が漂う。
「はッ!!!」
大きく振り下ろされる手刀。
気合いのこもった声が響いたかと思うと、次の瞬間、瓦がガラガラと崩れる音がした。
ドッと拍手が鳴り響く。
灰色の瓦は、見事に真っ二つに割れていた。
結果に満足そうに微笑むと、美鳥は再び一礼をする。

「見事な一発芸でしたー!ありがとうね、高遠さん!」
パチパチと拍手をしながら、洋紀はマイクを手に進める。
そして、美鳥が後片付けをして下がると、次は誰?と客席に目をやった。
「よし、じゃあ白藤君。何かやらない?」
誰も手をあげなかったので、洋紀は先ほどから大樹並に食べている純也を指名する。
不意に当てられた純也はほんの僅かに面食らって、それでもすぐに、答えた。
「芸なら、さっきから披露している」
「え?さっきから食べてばっかりじゃない」
「これがオレの一発芸だ」
そう言うと、純也は洋紀の方を向いたまま再び食べ出す。
洋紀は「それは“一発”じゃないでしょー」と軽くツッコミを入れると、再び面々を一瞥した。
最後に披露する、と前もって宣言していたアイヅを除くと、もう一発芸を披露する者はいなさそうだ。
洋紀は、それじゃあ、と咳払いをする。

「次は私ね。色々考えたんだけど、一曲歌わせてもらうことにするわ」
そう言うと彼女は右手を上にあげて、指をならした。
とはいえ、曲が流れてくるわけではない。
自分で鼻唄を歌うことでイントロを流すと、彼女は歌い出す。
「このごろ流行りの女の子〜♪」
曲目は、某他人の人生を変えてしまう、ちょっぴりエッチな愛の戦士のテーマソングらしかった。
それに気付いた面々は、曲に合わせて手拍子を始める。

「L・O・V・E!ツ・ン・ド・ラ!」
そんな合いの手を入れるのは、大樹。
既に彼は、お酒が入っているのではないかと思うほどにハイテンションな彼の指先に灯る白燐光は、どうやらスポットライトのかわりらしい。そのうち、実尽もまねして白燐光をやりだす。
ノリノリの洋紀と、ノリノリの面々。
そんな中、アイヅ一人は違った。
洋紀が歌を歌うことで、忘れかけていたショックが蘇ったらしい彼女は、不意に高速で、苦すぎて誰も手をつけなかったカカオ99%のチョコレートをかき込み始める。
そして洋紀の歌が終わり、彼女が一礼すると同時に、はいっと手を挙げて立ち上がった。

「三番、五十嵐アイヅ。蜂をうち落とします!!」
なんとなく目が据わっている彼女は、アタッシュケース持って前に出る。
カチリ、と開けたケースの中から取り出された物に、面々は一瞬にして固まった。
アイヅが中から取りだしたのは、少し大きな蜂の巣。
「あ、あの……アイちゃん?」
止めようとしたが、遅かった。
周囲が青くなるのも構わずに、アイヅは蜂の巣を放り投げると正拳衝きで中の蜂を叩き起こす。
「みんな、逃げるわよ!」
せまる危険に、洋紀は退却命令を出す。
いつの間にか寝ていた千鶴を叩き起こせば、彼は「はっはい!?」と叫んで飛び起き眠たげに目を擦ったが、しかしその寝ぼけ眼すらも、怒った蜂の大群に一気に覚めた。
―――と、

「イグニッション!」
響いた声に、振り返る。
そこには、イグニッションをしてミリタリー服を纏った実尽。
それまで座っていた彼女は立ち上がると、目の前の光景に大泣きしながら叫んだ。
「虫さん達、いじめちゃダメーーー!!!」
その声と共に、白燐蟲達がとばされる。
とばされた蟲達は飛び交う蜂に飛びついた。すると、何がどうなったのか、蜂たちは急に大人しくなり、地面に落ちた巣へと帰っていった。
「えい!えい!えい!……あれ?」
蜂に向かって闇雲に正拳衝きを放っていたアイヅは、聞こえなくなった羽音に不思議そうに声をあげて目を開く。
そしてそこに大泣きしている実尽を見つけると、慌ててかけよって慰め、謝った。
「……とりあえず、後片付けしよっか」
ひとまず平和が訪れたらしい広場を前にした洋紀の提案に、避難しようとしていた面々達は頷いた。

●家に帰るまでが花見です
片付けを終え、山を下りた一行は、駅前でそれぞれの方向に分かれる。
「今日は楽しかったわ」
「ははは、こちらも楽しませていただきましたよ」
「またやりたいなあ」
「ええ」
「オレもだ。……蜂は勘弁だが」
「……ごめんなさい…」
「…虫さん、いじめちゃダメ」
アイヅは、泣く実尽にこってり絞られたらしい。
しなかしながら、多少のアクシデントはあったものの、花見が楽しいことには違いなかった。
「それじゃあ、また」

桜色の空の下、笑顔で一行は家路についた。

◆End
:偽シナ関連::
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